AOAO SAPPOROでは、現在開催中の特別企画展「ザ・パーフェクト恐竜」について、一部展示を入れ替え、新展示を公開しますので、お知らせいたします。
詳細
■27日で終了する展示
カムイサウルス1/5生体復元モデル
■28日から公開する展示
カムイサウルス骨格発掘時に実際に使用されていた道具
・スコップ小1
・熊手1
・刷毛3
・ハンマー5
・ピック6
・パラロイド容器とスポイト1
・ピンセット1
・デンタルピック1
・皮手袋1組
展示期間:2023年12月28日(木)〜2024年1月15日(月)
展示場所:『AOAO SAPPORO』5F 「CO-WORKING」
コメント:むかわ町穂別博物館長 櫻井和彦氏
〈発掘の様子〉
カムイサウルスの全身骨格化石は岩盤の中から掘り出されました。
重機を使って岩盤を大きく削り、電動ピック(削岩機)やツルハシなどで土砂を大まかに取り除いた後は、軍手(皮手袋)をはめた手にハンマーとピックを握り、少しずつ石をくだいて埋まっている骨化石を掘り出します。時々小さなスコップや熊手で石をよけながら、全て手作業で化石を探します。化石が少し見えてくると、刷毛やピンセット、デンタルピックなどを使って細かい石を取り除きながら慎重に作業を進めます。
覆っていた石を取り除いた直後の骨化石は黒々と光っていますが、空気に触れているうちに乾燥して、たちまちひび割れてしまいます。掘り出した化石が傷んでしまわないように、スポイトを使って「パラロイド」というアクリル樹脂の溶液をしみこませて化石を補強しながら作業を進めました。
〈カムイサウルスの発掘道具と発掘の思い出〉
カムイサウルスの発掘調査は、主に2013年と2014年の2年間にわたり、それぞれ1ヶ月間ずつ行いました。穂別博物館から10kmほど離れた発掘現場に、前半は舗装道路、後半は山道を片道30分以上かけて毎日通って、一日中発掘をしていました。
発掘現場では、次から次へと骨化石が発見されました。「こんなにたくさんの骨化石が出てくるなんて、ここはまるで日本ではないようだ」と、海外で発掘経験のある方が驚いていました。穂別博物館のスタッフと小林先生率いる北海道大学の学生やボランティアの方々が、一度に10人、多い時には20人近くも集まり、みんな熱心に発掘調査に取り組みました。その結果、全長8mに達する全身の約80%という、日本国内で最大・最高の恐竜全身骨格化石が掘り出されたのです。 発掘に実際に使われた道具を見ていると、なつかしさと同時に現場での熱い思いが胸によみがえってきます。みなさんも道具を見て、カムイサウルスの発掘にかけた我々の熱意を感じ取っていただけると幸いです。